5月。忘れたころに突如としてXのタイムラインを絢爛豪華に彩る、ファンタジーなお洋服を身に纏ったセレブ達の面々を見つけると、今年もメットガラ(MET GALA)の季節がやってきたのだなと気づきます。今年のメットガラも眼福でございました。あ、でも海外セレブに詳しいわけではなく、各メゾンの華美なドレスを見て空想の世界に連れて行ってもらうのが好きなのであります。 そもそもメットガラとは何ぞやという人は下記を↓
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TAKE FIVE2を見に行った日、上野の東京国立博物館で開催されていた「黄金のアフガニスタン展」と東京藝術大学の「バーミヤン大仏天井壁画~流出文化財とともに~」を妹と観てきました。 詳しくはないけれど、アフガニスタンをはじめとする中央アジアには昔から郷愁みたいなものを何となく抱いておりました。 妹も初めて就職した会社がシルクロード遺物を展示している場所であったり、自分の結婚式でアフガニスタンの音楽を演奏しているちゃるぱーささんにいらして頂いたり、あちらの民族衣装を着させてもらったりと私以上に何かとご縁深い様子。 実際に古代にシルクロードを通し、ギリシャや中央アジアから日本にもたらされたものは文化や人、モノなどたくさんあることでしょう、展示されているティリヤ・テぺの墳墓から見つかった金冠は奈良の斑鳩にある藤ノ木古墳のものとそっくりです。私たち日本人の起原は中央アジアにあるという説を唱えている人もいるぐらいだから、古来よりかの地は私達日本人にとっても特別な地なのかもしれないですね。 先日、NHK BSの番組でこの企画展にあわせた特別番組が放送されていました。2001年にタリバンの手によってバーミヤンの東大仏が爆破されたニュースは15年前の出来事と思えないぐらい、記憶に鮮明に残っています。バーミヤンだけでなく、世界のあらゆる遺跡や遺物がその時代の政治的宗教的背景などにより破壊されていく姿というのにはひどく心を痛めます。 私はバーミヤン遺跡は、大仏ばかりが破壊されたものだと思っていたのですが、1000以上ある石窟遺跡の壁画など殆どの貴重なものがはぎとられてしまったとのこと。番組ではそれだけでなく、内戦により博物館や遺跡の貴重な展示品が盗まれ、流失してしまったことや、古代の仏教都市遺跡であるメスアイナク遺跡なども治安の悪化や資源開発により、保存することがむずかしくなってきていることを伝えていました。 今回、上野で行われているこの二つの企画展は、内戦などから奇跡的に守られた古代アフガニスタンの至宝231件に加え、日本で「文化財難民」として保護されてきた流出文化財15件が紹介されているようです。さらにはこの15件を含むアフガニスタンからの流出文化財102件は、この展覧会終了後、アフガニスタンに返還されるとのこと。また、藝大のほうでは、過去の学術調査で撮影された写真を元に3D技術と人の手により精巧に復元されたバーミヤン東大仏の天井画を見れるとのことで、どうしてもこの2つの展示は見に行かねばと思ってしまい、出かけて参りました。 実際に見る精巧で緻密な出土品の数々は、バラエティに富み、目にも美しく、その歴史的価値の高さが伺え、とても素晴らしいものでした。様々な文化様式が入り混じり、シルクロードの中継地点としてのアフガニスタンの歴史の重厚さを感じました。特に金細工や石を使った装飾品やの数々や刀剣は思わず食い入るように見てしまいました。古代のアクセサリーって自分の創作意欲にとても火をつけるものなのです。 そして藝大のバーミヤンの天井画、展示室のアーチをくぐると、頭上に精巧に復元された天井壁画。描かれているのは太陽神。これはギリシャの太陽神ヘリオスであり、イランのミトラであり、インドのスーリアでもあります。それは東西文明の交流の象徴、、脇には有翼の女神や白馬、半身半鳥の霊獣など、背景の朱色とラピスラズリの青がとても美しく、ため息が漏れました。また、目の前の大きな壁一面がスクリーンになっており、バーミヤン遺跡から見えるアフガニスタンの雄大な四季折々の景色が映されていました。館内に流れる幻想的な音楽は千住明さんのもの。流れる美しい景色と静かな音楽に、私の中に眠る郷愁…なのかな?実際に訪れた土地ではないのだけれども、そのようなものがあふれ出してきて、しばらくその空間に佇んでいました。数人で来館していたご婦人方のグループもこの景色に「なんだか懐かしくて」と仰っているのが聞こえてきて、私も泣けてきてしまいました。 人の記憶はうすれゆくものだし、物質もいつかは崩れ去って風の中に消えてしまう。長い歴史の中では繁栄もあればむごたらしい出来事もあることでしょう。それが何万年もの間繰り返されてきた世の常だと言ってしまえば、そうなのだろうと思います。けれども、そこにかつて在ったものを幻視し、さらには少しでも守りたいと思うのは、記憶の旅路のループを生きるヒトの性(さが)なのかもしれないなぁと。そんなことを考えました。 国立博物館の入り口に掲示されていたこの一言が胸に深く刺さります。これは再開を期してアフガニスタン国立博物館の入り口にかがげられたメッセージ。だそうです。 「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」 “A nation stays alive when its culture stays alive.” 企画展はどちらも6月19日までだそうです。ぜひ色んな人の目にとまりますように。 www.gold-afghan.jp