あの日悪魔に魂を売った時から
あの日天使に魂を売った時から
ぼくはもう何も選ばないだろうと思った
心臓を引きちぎられるようなかなしみはもう充分だから
穏やかな時間のなかで
知らないふりをしてふわふわと、
たくさんの魂とたくさんのステップで踊ったんだ
そして、まわる時空の遥か彼方に消えてしまった諸々の星くずの
その悲しみの果て孤独の果てに
いまぼくはここにいて
どうしようもなく薄汚い自分と
どうしようもなく神聖な自分と
それに連なるすべてを受け止めたいと願っている
それはきっとぼくだけの願いじゃないとそう思っているから
化石にもなれず誰の夢にも顕れる事の出来なかった
純粋な涙を拾い集めてこの突き抜けるような青の高みに還したい
そんな僕の想い、それすらも秤にかけられてしまうなら
ぼくはぼくがよく分からなくなってしまって
この深い海の底でじっとしているほかなくなってしまう
もういい加減にしようじゃないの
これはほんとにただのヒガイシャモウソウだってことは
百も承知
だけれども
あの日
悪魔だけじゃない
かみさまだってぼくたちを利用したじゃないか
何気ない言葉もすべては呪いであり祝いであると昔読んだ小説に書いてあったっけ
それを今更、白いとか黒いとか、綺麗だとか汚いだとか…
<美しい言葉で着飾って、ぼくたちを貶めたのはあなたたちでもあるのに>
思い出せばホラ一瞬で
どこかにしまっておいたはずの、黴臭い青い炎はいつだってぼくの身を焼き尽くす
だけどその激しさを秘めたままで、ぼくはもう何もかもを赦したいと思っている
あなたの罪も
ぼく自身の罪も
それなのに
人の好い顔して
どうしてまたぼくを殺そうとするのですか
これ以上ぼくになにを求めるのですか
あなたは
S極とN極の両端に立って手招きをしながら
どちらにも踏み出せないぼくの
流すこの涙もニセモノだと、また疑うのですか
ぼくは、
最初から最後まで、たった一人のぼくでしかなかったんだから
選ぶことはやめたんだ、と
あと何世紀言い続けたらそれに気づいてくれますか