2021年の後半ごろ、西洋占星術のトランスサタニアンの講座に通っている頃、時を同じくして、ゲームのCyberpunk2077をプレイし始めました。 Cyberpunk2077はどんなゲームかというと、ウィッチャーシリーズのポーランドのゲーム会社CD projekt REDによる、オープンワールド型のアクションロールプレイングゲーム。 1980~90年代にアメリカでリリースされたテーブルトークRPG『Cyberpunk』シリーズを原作としています。 そもそもサイバーパンクとは、1980年代に流行したSF(サイエンスフィクション)のサブジャンルのことです。サイバーパンクの言葉が最初に出たのは、ブルース・ベスキが発表した短編小説のタイトルだそうで、1985年にSF誌の編集者ガードナー・ドゾワによって、作風を指す言葉として用いられ、引いては思想や運動を表す言葉になりました。ウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」のスプロール・シリーズ(電脳空間三部作)がサイバーパンクをひとつのジャンルとして打ち立てた作品として有名です。 サイバーパンク=cybernetics(機械の自動制御や動物の神経系機能の類似性や関連性をテーマに研究する科学)+punk(構造や体制への反発・反社会性)。 Wikipediaを見てみると、人体の機能の一部を機械的・電子的に拡張ないし置き換えたサイボーグという概念がSFで盛んに用いられるようになり、サイバーパンクではこれらの人体と機械が融合し、脳内とコンピューターの情報処理の融合が「過剰に推し進められた社会」を描写するとあります。 サイバーパンクの名の通り、原作のTRPG「Cyberpunk」シリーズ、並びに「Cyberpunk2077」も原作シリーズが展開された1980~90年代の想像する近未来観をベースにしており、レトロフューチャーな作風。テクノロジーが極まった世界を描いており、サイバーウェアと呼ばれる身体改造や、脳に装着するサイバーデッキなど、技術革新が進んではいますが、圧倒的な力を持つ日系の巨大企業が牛耳るディストピアとして描かれています。また、80年代は、日本のバブル景気により、アメリカ国内で日米貿易摩擦を背景とした日本脅威論や反日感情が高まっていて、ディストピア化した未来世界の権益を巡って日本の巨大企業が悪事を働くイメージがリアリティをもって受け入れられていた時期であったそう。(映画バックトゥザフュチャ―2とかもそうよね) 作品には日本企業アラサカなど、架空の日本企業が数多く登場しており、その背景を色濃く反映ています。 そんなゲームの舞台は2077年のナイトシティ。ナイトシティはアメリカの西海岸にある犯罪や暴力が跋扈する頽廃的なサイバーシティ。ナイトシティを闊歩する主人公の名前は「V(ヴィー)」と言います。 余談ですが、V(ヴィー)という名前はトマス・ピンチョンの小説「V.」のオマージュでしょうか。また登場人物の一人であるタケムラが千葉11区生まれなのも、ウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」をオマージュしてたりするのかなと思ったりして、サイバーパンクの系譜に当たるような伝説的な作品の要素がところどころに組み込まれているのも、SFやサイバーパンク好きな人には小ネタを探すのも面白いところかもしれません。 Vの性別、見た目、ライフパス=生い立ちは、プレイヤーが作成し選ぶことができます。自分で作るキャラクターは思い入れ深くなるので、キャラクリはめっちゃ楽しいよねぇ。ライフパスは、コーポレート(大企業アラサカ社に勤めるエリート)、ストリートキッド(ナイトシティの貧民層生まれ)、ノーマッド(ナイトシティの郊外の砂漠で自由に生きる放浪者)の3つ。どのライフパスで初めても、メインのストーリーは変わらないのだけど、(最初のシナリオと会話の選択肢が少し変化するぐらい)私はその後の転落人生からアラサカ社とVの関係を妄想した時に一番萌えるのでコーポレートをスタートにしがち。笑 ここから少しネタバレ含みます。ストーリーの概要としては、Vが相棒のジャッキーと共に、ストリートで共に裏稼業をこなしていくことで、大きな陰謀に巻き込まれていくというもの。開始直後から、まあまあ色々なことがありまして、Vは物語の序盤で一度命を落とすのですが、アラサカ社が開発していた謎の生体チップ「Relic」を、自分の頭のスロットに装着していたことで、Vは再び蘇り、目を覚まします。しかし、その生体チップには、50年前にアラサカを襲撃した伝説のテロリストでロックミュージシャンの<ジョニー・シルヴァーハンド>の記憶痕跡が入っており、Vの肉体が死んだことで、それが起動し、Vは蘇ったものの、ジョニーのデジタルゴーストが頭に住み着くようになり、彼と肉体を共有することになります。 そして告げられた衝撃の事実、「Relic」の記憶痕跡は最終的には、Vの意識を上書きしてしまうのだということ…。 いやぁ、ジョニーが出てくるまで、序盤でも怒涛の展開で、映画一本分見たぐらいの気持ちになります。スタートから序盤終了まで辞め時が分からなくて、次の日仕事なのに深夜に始めたもんだから朝方になってしまったという。それぐらい物語にとても引き込まれますし、ナイトシティの街並みの精巧さ、そしてそこを闊歩することができるということの没入感がすごいです。そしてこのジョニー・シルヴァーハンドがもう一人の主人公と言っても過言ではないぐらい重要なキャラクターなんですが、俳優のキアヌ・リーヴスが演じてます。姿形がキアヌ。脳内にキアヌ住みついてるの。笑最初は脳内のキアヌに殺されそうになったりして、ジョニーめっちゃ悪い奴だったのかよ!すげー嫌いとか思うんだけど、一緒に行動していくうちに、ジョニーが相棒みたいな感じになってきて、ジョニーなしでは味気なくなってくる、そしてジョニーとVの間に友情のような言葉では言い表せないような繋がりができていくのもめちゃくちゃエモいのですよ。 プレイする前は、FPSは酔うし、難しくて私にはプレイできねえだろう…と思っていたのに、SFやサイバーパンクものが好きなので、少しプレイしただけで、まんまとハマってしまって、FPSプレイできるようになりました。笑銃とか肉弾戦とかできなくても、脳にサイバーウェアをたくさん仕込んで、監視カメラや偵察・迎撃用のロボットや相手の脳を遠くからショートさせたりできるサイバーパンク内での魔法、クイックハックがあり、それを多用して乗り切りました。笑 でね、最初にトランスサタニアンの講座受けてる時に、ちょうどこれをプレイしてたって書いたんですけど、トラサタの天体を理解するのにサイバーパンク2077の世界観はめちゃくちゃぴったりだったのです。暴力と欲望にまみれた街ナイトシティで一度死んで甦り(冥王星)、 頭の中のデジタルゴースト=ロッカーボーイ(海王星)でテロリストのジョニーと共に巨悪企業に立ち向かう(天王星)。 このストーリーの要素、このキャラクターはトラサタ含め惑星で考えたら何になるだろうと考えながらプレイしてました。 あと、ストーリーにタロットカードが密接に関わってきます。エンディングのタイトルが「星」「悪魔」「太陽」「節制」などがあったりします。なので、タロットだとこのキャラクターは誰だろうとかも考えたりしました。また、ナイトシティの街の色んなところに、Vとジョニーにしか見ることのできないタロットの大アルカナの象徴が描かれていて、それを探すというサイドクエストもあり、タロットの絵を集めていくというのも面白かったです。タロットの絵は、もちろんサイバーパンク風でめっちゃかっこいいの。できれば公式でタロット売ってほしい。ちなみにVの自宅を出てすぐの壁に愚者の絵が描かれていて、V=愚者の「世界」に至るまでの物語なんだっていうメッセージ性も感じてとても良かった。それに街の中を歩いていると、戒律により身体改造を拒み、修行に身を置く仏僧や禅僧みたいな人たちと出会うのですが、禅の達人に四大元素の誘導瞑想してもらうサブクエストがあったり(笑)、主要キャラのミスティが「ミスティのエソテリカ」という占いショップを営んでいたりと、80年代のニューエイジっぽい要素もあって、そういうのが好きな人には楽しいかもしれません。 ゲームも後半に突入して、エンディングがチラついてくると、「俺、ずっとナイトシティでギャングたちを物陰からクイックハックして生き続けたい…」と、なかなかクリアしたくなかったのですが、サイドクエストもほぼ完了してしまい、記事にするんだからちゃんとクリアしなくちゃ、と、渋々クリアしたことを思い出します。でも、思い入れが強すぎて今の今まで記事書けなかったのよね。マルチEDなので、まだ見てないEDもあるんですが。もし続編やDLコンテンツが出るなら、ED後のVを見れるのでは…?結局どうなったの?と含みを持たせるような、期待させるような終わり方ではあり、続編を期待しています。(拡張パックが今年発売するらしいので、とてもたのしみです) そうそう、ゲーム内でVと恋愛に発展させることができるキャラクターが何名かいるのだけど、良い感じにはなるけど親友止まりで誰とも深い関係にならないVってのが好きで、うちのVは誰とも深い関係になっておりません。笑恋愛関係に発展するキャラの中では、ノーマッドのパナム・パーマー(女)と、ジョニーの元バンド仲間のケリー・ユーロダイン(男)が好きなんだけど、パナムとケリーは恋愛対象が男性なので、私のVは女主人公なことが多く、どちらとも恋愛関係にはなれず、とても良い親友になるだけ。(それもまた良し)しかし2人と仲を深めていくクエストはとてもエモくて好きです。他のキャラ、、ジュディとか、リバーはなんかあんまり好きじゃない。(ジュディは感情の起伏にイラっとさせられるし、リバーは歩き方が何か生理的に嫌、すまん笑) 自分の趣味嗜好を晒すの恥ずかしいのですが、恋愛になりそうなんだけどならずに禁欲的(とは違うか)な深い関係を築くっていうのが本当に好きで、そういう意味で言ったらジョニーとVの関係も相当エモくて、ジョニーとの油田でのイベントの会話とか、メインクエストの「寄生虫」かな?そこでのとある会話の選択肢(女Vでしか出ない選択肢かも)とかもね、膝折れるぐらい好き、言いたいけどネタバレになるから、そういう嗜好を持ち合わせている方はぜひプレイして確認して欲しい。笑 Vの装備品や乗り物も本当にいろいろ手に入れることができて、装備替えするのも着せ替え感覚でとても楽しい。手に入れた乗り物でナイトシティをくまなく疾走することができるのも魅力的な要素の一つ。乗り物は、車やバイクなど様々な種類があるんだけど、私は結局ずっとこれにしか乗っていないのですわ、「ヤイバクサナギ」。AKIRAの金田バイクみたいで、かっこよくないですか?似てるの色が赤いだけかもだけど。笑 あとね~~~~。(まだ話し足りないのか)サイバーパンクの音楽がすごい良いのよ。ジョニーのバンドのSAMURAI(スウェーデン出身のパンクバンドRefusedが演奏)の「Chipp’in In」や「Never fade away」「Archangel」もオールドスタイルで良いし、あと「Resist and Disorder」のツインヴォーカルのヘヴィーなインダストリアルロックな感じも良くて、戦闘中やヤイバクサナギを走らせている時にラジオから流れると(乗り物に乗るとラジオ聞ける)高まります。それからタイトル画面で流れる「V」も静かに不穏な感じで始まり、後半に行くに従ってヘヴィーで暗いサウンドが展開していくのも良。街中で流れてるアニメ声の日本語電波系ソング、Us Cracks(ゲーム中に登場する三人組女性グループ…実際にはナマコプリが演奏)の「PonPon Shit」も非常に中毒性があります。 原作者のマイク・ポンスミスさんもファミ通か何かのインタビューで、2077を製作するにあたり、AKIRA、カウボーイビバップ、バブルガムクライシス、攻殻機動隊から影響された部分があると話してるので、その辺が好きな人や、SF・サイバーパンクというジャンルが好きな人におすすめしたいゲームです。CD projekt REDさんのゲームはウィッチャーしかり、自由度がありながらも、ストーリーが素晴らしくて、最後まで飽きることなく楽しめるところがとても好いなあと思っております。自由すぎるとダレてくる、飽きてくるタイミングがあるんだけど、それはなかったな。むしろ最後までまだ終わらないでくれと祈るばかりでした。